こんにちは。
今日紹介するのは有川浩氏の「レインツリーの国」です。
きっかけは一冊の本。かつて読んだ、忘れられない小説の感想を検索した伸行は、「レインンツリーの国」というブログにたどり着く。
管理人は「ひとみ」。思わず送ったメールに返事があり、ふたりの交流が始まった。
心の通ったやりとりを重ねるうちに伸行はどうしてもひとみに会いたいと思うようになっていく。
しかし、彼女にはどうしても会えない理由があったー。
不器用で真っ直ぐなふたりの、心あたたまる寿玉の恋愛小説。
この小説を読み終えて・・・
私自身、「図書館戦争」シリーズがとても好きで、高校生の時期に全てを読み終えました。
その中にレインツリーの国のことも書かれていて、「読んでみたい!」と思いながらもダラダラと先延ばし(積読)し、他の小説やエッセイを優先してしまい読むことが遅くなりました。
ですが、つい最近とうとう読みたい本が家になくなり、本棚の積読コーナー(30冊以上あります笑)を漁っているとこの本が出てきたので読んでみることにしました。
初めはそんな理由ということもあって読み終わるのに苦戦するのかなと思っていたのですが、溶け込みやすい世界観と登場人物だったので結局3時間ほどで読み終えることができました。
まず初めに面白いと思ったことがストーリーと設定です。
この小説は 5,6年前に発行されていますが、出会いがネット上からという現代のような出会いであり、また絶対にないと思われるような感じではなく現実味を帯びた設定で、親しみやすいです。
また、女性の背景や雰囲気、性格などネット上からではわからないことが多いことが、小説内でもわからなくなっており、自分で想像しながら話を読むことができ、その後実際に会った時に答え合わせするようなストーリーの書き方、また予想外の彼女の人生背景に驚かされながらも、つい気になってしまうような書き方がとても面白いです。
そして伸行。伸行は関西人で言葉遣いがきつく、なんでもストレートに気持ちを伝える性格の持ち主。
率直に意見を言うことは大切だが、それが無意識のうちに人を傷つけることもあります。
この伸行とひとみが実際に出会い、お互いの気持ちをぶつけ合うことで知られる真実とお互いの気持ち。
この二人の距離が縮まっていくところが読んでいてとても面白いです。
ネタバレありの感想
ここからは、ネタバレもあるので内容を知りたくない方は見ないでください。
今回の本でとても感じることがあったのは、二人の考え方です。
実際にひとみは聴覚障害があり、静かな場所だと聞き取れやすく、また口がしっかり見える状態だと、口の動かし方からある程度の言葉が伝わります。
なので、自分が聴覚障害だと言うことを隠して、ごまかしながら、伸行と初めて出会います。
しかし、伸行の方はそんなことも知らないため、映画館で字幕なしの映画を頑なに見ようとしなかったり、エレベーターで重量オーバーに気づかず降りようとしないひとみに対して怒ってしまいます。
障害者ではなく、普通の一人の女の子としてデートをしたかったひとみと、そんなことも知らず怒鳴ってしまい、「先に言ってくればそんなことなかったのに」と言う伸行。
世界には耳が聞こえない人や目が見えない人、手や足がなくても頑張って生きている人がいるということを知っていながら、そんなことに気づけず、後悔をする伸行がここからどうやって彼女との関係を築いていくのか、
またひとみは聴覚障害者にならないとこの苦しみ、悩みが分からないと言って、なかなか人と関係が築けなかったのだが、伸行とのオンライン上でのやり取りで、少しずつ心を開いていく姿も見所です。
こういうの人たちは現実には必ずいることなのですが、(今は)自分の周りにいない出会ったり、今まで出会ってきたことのない人にとっては考えることがなかったと思います。
普段何気なく見ている点字や信号機から出てくる音、テレビの字幕など不必要な人からすれば、そのことについて重要視したことはないかもしれませんが、中にはそれがないと生きて行けない、行きずらい人たちは必ずいるのです。
そういう方達との出会いだったり、その後のいい関係を築き上げるためにもこの小説は読んで欲しい一冊です。
小説好きには読みやすいですし、200ページほどなので、小説読み始めたばかりの人でも非常に読みやすい一冊なのでぜひ手に取ってみてほしいです。
最後になりましたが、たったの200ページです。
この200ページが今後のみなさんの人生における考え方や、行動を大きく変える存在であることは間違えないです。
本の好き嫌いに関わらず、読んで欲しい一冊です。