こんにちは。
今日は人間の「感情」についてお話ししたいと思います。
私たち人間にはどうして感情があるのか、という問いは平穏な日常生活を送っているとあまり感じることができないかもしれません。
この「感情」に限らず、一般的に、生きものに備わっている性質がどうしてあるのか、という理由を考えることは難しいのです。
どうしてキリンの首が長いのか、どうしてタンポポの種には綿毛が付いているのかなど、挙げればキリはないですがその理由を説明することは難しいです。
そこで多くの場合、その理由を機能にすり替える、つまりどうしてという疑問から「何のために」にすり替えることで説明しています。
キリンの首が長いのは高いところの葉を食べられるように、タンポポの種に綿毛がついているのは種が遠くに飛ぶように。
これは一見理由を説明しているようですが、キリンやタンポポ自身が高いところの葉を食べようとして首を伸ばしたり、遠くまで種を飛ばそうとして綿毛をつけたりしたわけでおそらくない以上、厳密な意味では「理由」とは言い難いです。
そこで、今考えようとしている性質そのものについて分かりやすく考えるためには「機能の話にすり替える」ということをすれば悪い方法ではないと思います。
感情の機能を考える。
ここからは感情が私たちにどのように機能しているかに「すり替えて」考えていきましょう。
考える上での注意点
ここから考えていく上で一つ注意して欲しいことがあります。
感情と私たち自身との関係です。
感情は、私たちがそれを「持っている」と感じられる時と、感情が私たち自身を越えて働いていると感じられる時があります。
このように私たち自身と感情の関係は一通りじゃないと言うことを頭に置きつつ説明していきたいと思います。
感情は自分も周りも影響を及ぼす感情というのは、自分にももちろん他人にも影響を与えます。
自分に与える影響
感情を表すことで自分に与える影響というのは、記憶との関係や心理的な優先順位を変更してしまうといった影響があります。
記憶でよく言われるのが、匂いと共に記憶することやなにかと連想させるなどですが、感情との連携もとても大切です。
感情を表すことによって記憶を思い出すことや脳に強く記憶させることも可能です。
例えば、久しぶりの友人と会うと、懐かしいという感情が表れ、その懐かしさがその友人との経験を次々と思い出させる場合や、大きな喜びのあった前後の記憶が強く残ったりすることです。
このように感情は記憶に強く関わっています。
また心理的な優先順位を変更するというのは、少し難しい言葉を使っていますが、緊急な出来事に対応したりすることを言います。
また、通常通りの感情で過ごしていた中、突如として親の死が告げられるなどすると、それは悲しみや苦しみ、はたまた怒りなどの感情が割り込んできます。
そうして心理的な優先順位を変更したり、変更してしまったりすることをいいます。
他人に与える影響
これは大きく2つ。他の人にも感情を生じさせる、他の人に行動を起こさせる、です。
他の人に感情を生じさせるというのは、ある人が感情的になっていたりすると、それを感知した人がその人について情報が伝わるだけでなく、感知した人自身にもなんらかの感情を生じさせます。
さらにその人の感情がまた他の人に影響させて、広範囲に広がっていきます。
ちなみにそこで生じる感情は同じ感情ではなく、他人の「怒り」の感情を受けた人がそれを見て「恐怖」の感情を生じさせるかもしれないし、「哀れみ」などの感情を生じさせるかもしれないです。
このように、複雑ではありますが、人に何らかの感情が生起すると周囲の人も何らかの感情を生起させるということは正しいことがいえます。
次に他の人に行動を起こさせる、ということですが、これも先ほどと似たようにある人の「怒り」が周りの人の回避を起こさせたり、また、ある人の「喜び」は他の人の祝福という行動を呼び起こすかもしれないということです。
まとめ:感情はなぜあるのか
最後に感情はなぜあるのかという元の問題に戻りましょう。
今回は、感情を機能と捉えて話してきました。
それによると、人は感情があることで自分自身の心の状態を崩したり戻したりし、対応する優先順位を変更して目の前の状況に対応することが出来たりします。
また、記憶の能力を高めたり、他人に自分の感情を伝えることで、他の人の感情や行動を呼び起こしたりすることも出来ます。
このように感情を機能としてみた上でもう一度、感情がある理由について考えてみましょう。