心理学

【生理心理学】身近な例を用いて心理カウンセラーが詳しく解説!!

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【生理心理学】身近な例を用いて心理カウンセラーが解説!!

皆さんこんにちは。

今日は、『生理心理学』について私が書いていこうと思います。

生理心理学とは

生理心理学とは、生理学的な手法を用いて、人間の行動の仕組みやその背景にある心の働きを解明しようとする学問です。

この学問では生理学的な反応と心理学的な現象との間には関連性があるということを前提として考えています。

ジェームズの『心理学原理』

アメリカ心理学の父とも呼ばれているジェームズが著した『心理学原理』という書籍の内容では、脳の構造や機能の解説に多くのページが割かれており、心の働きを知るには神経学の知識が必要不可欠だと言われています。

でも現実的にはなかなか難しいことではあります。

なぜなら人間の脳を直接調べるということは、生きている人間の脳を使わなければならないからです。

そこで、生理心理学を研究していた初期は他の動物の脳を調べ、そこで得られた発見を人間の脳と類推して考えるということでした。

例えば、動物の脳に電気を加えたり、一部を破壊した後の行動を見てみたり、あるいは薬物を与えたりなど、人間では非常に困難な実験です。

人間の脳を直接刺激する実験も行われたことがありますが、これは極めて例外的なパターンだといえます。

脳神経系の仕組み

先ほどいったように心の働きを理解するには、脳神経のことについて理解していなければなりません。

今回は、脳神経系について簡単に説明していきますので、さらに詳しく知りたい場合は別の記事を参照してください。

神経の伝達

神経の基本単位はニューロンと呼ばれる神経細胞です。

この無数の神経細胞が体の中にあり、神経細胞の中でも核を含む細胞体には樹状突起と呼ばれる枝分かれしたような突起があり、隣接する細胞からの信号を受け取る、という大切な役割を担っています。

そうして受け取った信号を長く伸びた軸索に沿って伝わり、終末部から次に隣接する神経細胞に伝達される、といったようにリレーのような伝達方法なのです。

神経細胞同士の隣接する部分は、密着していなくてその間にある僅かな隙間(シナプス)に化学物質が放出されることで情報が伝達されるのです。

脳全体にこの神経細胞はおよそ1000億個以上もあると言われています。

ヘッブの法則

神経細胞間の伝達について、情報伝達が繰り返し行われると細胞間同士の伝達効率が高くなるという仮説をヘッブが立てました。

この仮説は現在、立証されており、同じ反応を繰り返しているとシナプスに長期的な変化を引き起こすというものでこれにより『学習』が成立するのだと考えられました。

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右脳が左半身を。左脳が右半身を。

これは一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

右脳が左半身を動かし、左脳が右半身を動かしている、ということを聞いたことはあると思います。

つまり、右半球で脳梗塞が生じると左半身に麻痺を起こすということが起きます。

脳の側性化

大脳は左右2つの半球に分かれており、それらを脳梁と呼ばれる太い神経繊維の束が繋いでいます

両半球には機能的な違いがあり、

左半球では主に言語情報の処理を担っており、右半球では主に視覚的・空間的情報の処理を行なっています。

このような左右での機能の分化を脳の側性化といいます。

わかりやすい実験例

脳の側性化とはどのようなものなのかわかりやすい実験例で解説してみましょう。

ノーベル生理学医学賞を受賞したスペリーとガザニガ情報を一方向の半球にのみ送るという実験を行いました。

ある人の正面に画面を写し、真ん中に注視点、それを中心にして「HE・ART」というようになるような文字を瞬間的に見せました。

するとこの場合注視点より左側にある「HE」は左視野から右半球に入り、右側の「ART」は右視野から左半球へと入ります。

その上で何が見えたのか、というのを”口頭”で答えてもらうように質問したら、言語情報を処理する左半球に入った「ART」と答えましたが、見えた単語を指差してほしいと伝えると空間的情報を処理することができる右半球に入った「HE」を指差します。

つまり、右半球は言語では回答できなかったが動作では答えることができたのです。

脳の機能局在論

現在、脳を対象とした生理心理学の研究の多くは、さまざまな心の働きが脳のどの部分で起きているかを特定するものとなっています。

脳マッピングとも言われる研究で、さまざまな心の働きがそれぞれ脳の特定部位に局在化しているということを前提に立っていて、これを脳の機能局在論といいます。

機能局在論の考え方は古くからあり、現在でも考え方自体は健在ですが、科学的根拠に欠けるため、乏しい俗説とされています。

この考え方は非常に面白いのですが、注意しておきたい点もあります。

それは、ある心の働きがある脳部位に完全に対応しているのはごく稀だということです。

多くの場合心の働きというのは、単一の過程ではなく複数の過程から成り立つものでそれらが同時並行的にあるいは一連の段階を経ていくことで複雑な心の働きが実現するということを忘れてはいけません。

だから、病気になって体が麻痺したり言語が喋れなくなったりしてもリハビリをすれば、徐々に治ってくることもあるのです。

まとめ

それでは最後に今までのおさらいをしましょう。

  • 生理心理学とは、生理学的な手法を用いて、人間の行動の仕組みやその背景にある心の働きを解明しようとする学問である。
  • 心の働きを知るには神経学の知識が必要不可欠。
  • 神経とは体にある1000億個以上の神経細胞がリレー形式で伝達していっている
  • ヘッブの法則とは情報伝達が、繰り返し行われると細胞間同士の伝達効率が高くなるということである。
  • 脳は右と左に分かれており、それぞれ機能が違う。(脳の側性化
  • さまざまな心の働きがそれぞれ脳の特定部位に局在化しているということ脳の機能局在論という。

人の心の働きを知るためには、心理学だけ学んでいてもダメです。他の勉強とも組み合わせて、心理学に対する学びをより深いものにしましょう。

ABOUT ME
小椋 仁
コラムニストとして新聞掲載を目指している物書き・ライター。 現在はスーパーカブで日本一周しながら、あらゆるところで感じたことをコラムとしてインスタに投稿中。 ここでは心理カウンセラーの資格を活かし、心理学の追求、またそのほかの雑学や旅物語を綴っています。
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