心理学

【知覚心理学】知覚と感覚について心理カウンセラーがわかりやすく解説。

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【知覚心理学】知覚と感覚について心理カウンセラーがわかりやすく解説。

皆さんこんにちは。今日は【知覚心理学】について日本能力開発推進協会(JADP)公認心理カウンセラーの私がわかりやすく解説していこうと思います。

初めに:知覚と感覚について

まず初めに知覚とはどういったものなのかということですが、一言で言うと、

『感覚からの情報を解釈し、意味を与える働き』です。

私たちは日々、身の回りにあるさまざまな情報を取り込んで、それをもとに行動したり、考えることをしたりしています。

この時に、情報の入り口となる部分が、目や鼻、口といった感覚器官であり、感覚器官から脳に情報を送ることで「匂う」や「見える」、「聞こえる」といった感覚を体験します。

一般的にこの感覚は、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚の5つに分けられていますが、これにさらに運動感覚・平衡感覚・内臓感覚の3つを加えたものを感覚と呼ぶことがあります。

このように初めて感覚を分類したのは古代ギリシアの哲学アリストテレスだと言われています。

例えば、「見る」という行為では、視覚から得た情報をただ受動的に受け入れるということではなく、その情報を主体的・能動的に解釈していくということが知覚なのです。

美術館とかはまさにそうです。人によって同じ作品でも見方・感じ方が違い、見た人によっては感動して涙を流す人もいるかもしれませんし、怒りの感情を出す人もいるかもしれません。

共感覚とは

それぞれの感覚は基本的に独立して働いているものですが、必ずしも独立しているというわけではありません。

例えば、レモンを見ると酸っぱく感じたり、音を聞いたら色を感じたりすることがあると思います。

このように、感覚間で相互に作用することを共感覚と呼んでいます。

共感覚とは、一種の特殊能力のように思われがちですが、そんなことはなくほとんどの人に備わっている感覚であり、非常に大切なものであることが言えます。

知覚の体制化:プレグナンの法則

プレグナンの法則とは、日本語では群化の法則とも呼ばれ、知覚対象のものを勝手に最も単純で安定した形にまとめようとする傾向があるということです。

簡単にいうとグループ分けしてしまうということです。

グループ分けの方法は、近くにあるもの・同じような特徴を持ったもの・単純で規則的な形を形成するもの・滑らかにつながっているものなどが1つのまとまった形態として知覚されやすいことがわかっています。

逆に言えば、知覚の際に感覚から入力された情報を取り出して、それだけを個別に認識するということが難しいとも言えます。

また、知覚は過去の知識や経験も関与してきます。月の表面はウサギが餅つきしているように見えたり、トーストの焦げ目がある人物に見えたりするのも、経験や知識から私たち自身の知覚を形作っているからなのです。

知覚の恒常性

知覚の性質として、感覚器官に与えられる物理的刺激の情報が変化しても知覚される情報は比較的、一定に保たれるというものがあります。

これを知覚の恒常性と言います。

例を挙げると、友人が遠ざかる場面を想像してください。

その人が、10m先にいる場合と20m先にいる場合では目の網膜に映る友人の大きさは2分の1になりますが、実際にその人の大きさが2分の1になったとは感じません(大きさの恒常性)

他にもテーブルに置かれたお皿を真上から見たら円ですが、着席してみると、楕円形に見えますが、そのお皿の形が楕円として知覚されることはありません(形の恒常性)

このように同じ対象から得られる客観的、物理的な情報が変化したとしても、主観的には対象がほぼ同じように知覚されることにより、私たちは安定した世界として捉えることができています。

もしも五感を制限されると・・・

五感を制限されるとどうなると思いますか

実際にかつて、1957年に感覚遮断の実験が行われているのでそちらをもとに書いていきます。

実験参加者は、ベッドに横たわりトイレと食事以外は何もせずに過ごすという内容の実験です。そして、そこで過ごした日数によって報酬がもらえるという単純な実験です。

初め、実験参加者は何もしなくても報酬が喜んでいた実験参加者たちでしたが、その多くの人がわずか数日で脱落していったのです。

また、時間が経つと落ち着きがなくなったり、思考力が低下したり、さらには幻覚が見えたものまでいたのです。

このことから、人間は適度な感覚刺激にさらされていないといけないということがわかりました。

何もしない日々を過ごしたことがある方もいるかもしれませんが、自分的には何もしていなかったとしても、そこには外からの作業音や、食べ物の匂い、目からは何かしらの情報が入ってきているのです。

まとめ

それでは最後におさらいしましょう。

  • 知覚とは『感覚からの情報を解釈し、意味を与える働き』
  • 感覚同士で作用していることを共感覚という。
  • 勝手に知覚対象をグループ分けしたりしてしまうことをプレグナンの法則という。
  • 感覚器官に与えられる物理的刺激の情報が変化しても知覚される情報は比較的、一定に保たれるということを知覚の恒常性という。
  • もしも、五感を失うと人間は思考力が低下したり、幻覚を見たりすることがあるため、適度な感覚刺激が必要。




ABOUT ME
小椋 仁
コラムニストとして新聞掲載を目指している物書き・ライター。 現在はスーパーカブで日本一周しながら、あらゆるところで感じたことをコラムとしてインスタに投稿中。 ここでは心理カウンセラーの資格を活かし、心理学の追求、またそのほかの雑学や旅物語を綴っています。
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